今年で18回目を迎える「インターナショナルエンジンオブザイヤー」は、全11カテゴリー中、フェラーリが4冠に輝いたことに加えて、総合での「インターナショナルエンジンオブザイヤー」に輝くという、驚きの結果だった。
開発を担当したフェラーリのヴィットリオ・ディーニ氏の歓びの声をお伝えする。
「私たち自身も、これほど高い評価を得たことに驚きを隠せません。近年、ハイブリッドやEVといった電動パワートレインの評価が高まっていると感じていただけに、今回の受賞で内燃機関にも生き残りの余地があることを強く感じました。我々フェラーリにとっても、このエンジンは大きな挑戦でした。時代の変遷に沿って、ターボ付きエンジンでCO2排出量を削減しつつも、フェラーリならではのスポーティさを決して削いではいけないからです。ターボラグをなくし、レスポンスの高いエンジンに仕上げるべく、新開発のターボを搭載しています。そのために、日本には何度も足を運びました」
ターボの供給元は日本のIHIだ。ベアリングを内蔵した特殊なターボチャージャーが、このエンジンのために開発されている。さらに、低回転域でも充分に排気の脈動を有効に活用できるツインスクロールとし、低回転域から高回転域まで瞬時に過給できる。フェラーリほどのハイエンドなスーパー・スポーツカーならではのアイデアだが、PHVやEVが全盛となりつつある昨今の情勢を鑑みると、内燃機関が生き残る道はこうした特殊なハイエンドのスーパースポーツカーに積まれるパワートレインなのかもしれない。