ホンダ八郷社長、生産の電動化「グローバルでのホンダらしさ提供につながる」

自動車 ビジネス 海外マーケット
グループインタビューに答えるホンダの八郷隆弘社長
  • グループインタビューに答えるホンダの八郷隆弘社長
  • グローバルで自動化の展開を進める基礎となる寄居工場
  • 自動化が進められたマルチサスマウントの工程
  • グループインタビューの様子
  • 見学会の冒頭、挨拶する八郷社長

ホンダは5月下旬、2013年7月に国内生産の拠点として稼働した埼玉製作所寄居工場(埼玉県寄居町)を報道陣に公開した。出席した八郷隆弘社長はグループインタビューに答え、寄居工場がグローバルに展開する次世代生産技術の自動化について現状を語った。

----:寄居工場では自動化を積極的に進めているが、人があってのモノ作りという観点で考えから外れているような気がするが。

八郷隆弘社長(以下、敬称略):自動化によって人員削減は10%程できたと思うが、ただ、寄居で目指している自動化は海外工場を立ち上げるためのトライアルでもありそれが目的ではない。(将来を見据え)自動化についてちゃんとオペレーションできる能力のある人を育てていく必要があり、自動化を経験した次の世代を育てていく必要がある。その上で日本のモノ作りを再評価したい。

----:寄居工場での位置付けは?

八郷:グローバル6極体制(日本、中国、アジア/オセアニア、欧州、北米、南米)の中で、寄居工場は海外の立ち上げに必要なトライアルとして位置付けていきたい。ここ数年ホンダは充分な生産能力を確保できている。今優先すべきことは電動化だ。本気になって日本で育てるつもりにならないと、今こそが勝負(の時期)だなと。

我々は現在、500万台の生産能力を持っているが、日本やアメリカ、中国にある工場をリニューアルする時期に来ている。そのキーとなるのが電動化だ。電動化がもたらす生産の自動化が新しいモノ作りにつながっていく。それを日本で構築するためにこの寄居がある。日本では今後労働力が減っていくわけで、そのためにも電動化は欠かせない。中国も労働賃金が上がっていっている中、コストを含めて環境は日本に近い状態になりつつある。寄居工場での経験を積み上げてグローバルに展開することが大切と考えている。

----:グローバル6極体制を作ったことでメリットは生まれているのか

八郷:6極体制を作って良かったのは、地域専用車がある程度存在感を出してきているのかな、ということ。日本でいえば軽自動車が力を強めてきたし、アメリカはライトトラックが、アジアは『ブリオ』や『BR-V』などが評価を高めている。中国では『クライダー』や北京モーターショーでデビューした『アヴァンシア』という地域専用車が生まれて存在感を出している。ただ、ここまで地域ごとにバラバラでいいのかという思いもある。もう少しグローバルな展開を活用してもいいんじゃないか、とも思っているところだ。

今後は『シビック』や『アコード』、『ヴェゼル』、『CR-V』などと合わせ、(地域専用車と)両輪で商売をやっていく。6極それぞれに本部長がいるわけだが、それぞれが勝手にやるのではなく、もっと連携してもらいたいと思っている。

----:以前から問われていることだが、八郷社長にとって「ホンダらしさ」とは?

八郷:今グローバル生産は年400万台あるが、ウチの強みは多くのお客様と接点を持っていることだ。全世界で2500万人はいるんじゃないかと思う。そうしたお客様の意見を取り入れ、次の方向へと進めて行きたいと思っている。ホンダらしさというのはよく言われること。我々のプロダクトは幅広く、今はジェットまである。一番やるべきはお客様に喜んでもらうこと。買ったら自分の人生が変わるんじゃないかな、そう思っていただけるようにしたい。ただ、国によって感じ方も違うし、プロダクトとして、どうわかりやすくするか、ということを考えていかないといけない。この車を買ったら人生が変わったな、そんな記念になるような商品を作っていきたい。

ホンダの強みであるグローバルな展開と、地域に根ざした展開の両輪で、それぞれにホンダらしさを発揮していこうと思っている。寄居での電動化へのトライアルがホンダらしいクルマを提供につながっていくと信じている。

《会田肇》

【注目の記事】[PR]

編集部おすすめのニュース

特集