「色覚異常で信号色を誤認」という被告の主張を認めず、有罪判決に

自動車 社会 社会

2014年6月、宮城県仙台市泉区内の市道で乗用車を運転中にタクシーと出会い頭に衝突する事故を起こし、2人を死亡させたとして、過失致死の罪に問われている53歳の男に対する判決公判が7月29日、仙台地裁で開かれた。裁判所は執行猶予付きの有罪を命じている。

問題の事故は2014年6月16日の午前5時10分ごろ発生している。仙台市泉区鶴が丘4丁目付近の市道(片側1車線の直線区間、点滅式の信号機あり)で、一時停止を示す赤色点滅の信号を無視して交差点へ進入した乗用車と、交差進行してきたタクシーが出会い頭に衝突。タクシーは衝突の弾みで近くのガードパイプに突っ込む状態となり、運転していた65歳の男性と、客として後部座席に同乗していた63歳の女性が死亡した。

検察は乗用車側の信号無視と速度超過が事故につながったと判断。運転していた53歳の男を自動車運転死傷行為処罰法違反(過失傷害)の罪で起訴したが、男には先天性の色覚異常があり、公判において弁護側は「色覚異常のために赤色点滅の信号を黄色点滅と見間違えていた」などと主張。裁判所に対して情状の酌量を求めてきたが、検察側は「色覚異常が事故に特別な影響を与えたとは考えにくい」と反論していた。

7月29日に開かれた判決公判で、仙台地裁の村田千香子裁判官は「被告は信号を注視せずに交差点へ進入しており、色覚異常による見間違えが事故を引き起こしたとはいえず、責任も軽減されない」と指摘。被告弁護側の主張を退けた。

その上で裁判官は「被害者への補償がなされており、この点は評価する」として情状を酌量。被告に対して禁錮2年6か月(執行猶予3年)の有罪判決を言い渡している。

《石田真一》

【注目の記事】[PR]

編集部おすすめのニュース