BASFは2~3年先の自動車カラートレンド予測を発表した。最新のコンセプトは“パララックス”で、これをもとにグローバルトレンド2つと、アジア太平洋、欧州、北米地域それぞれのテーマを開発した。
グローバルトレンドのひとつ目は“CONTINUUM-境界のない広がり-”だ。デジタルコミュニケーションが発達し、異なる文化や分野、デジタルとアナログといった相反することが概念に存在する境界が消滅して、シームレスな状況になりつつある。「そのようにつながることで、新たな世界が開かれ、混沌としたものから生まれる創造性が生活を変え、デザインやビジネス、サービスまでも影響していくことだ」とは、BASFジャパンコーティングス事業部カラーデザインセンターアジア・パシフィックチーフデザイナーの松原千春さんの弁。
欧州では移民の問題で混沌としており、北米では過激な発言で強くリーダーシップを取ろうとする大統領候補者が支持を集めている。「これは何とか現状を変えたいという市民の気持ちが、そういった候補者を選んでいるのだと思う」と松原さん。また、アジアでは地震などの天災や、新興国の成長から、国々の主張も様々になり、国家間で違う思惑があるなど、混沌とした状況にある。この“混沌”はグローバルで共通の傾向だ。
「そこから一歩進んでいくにはどういう方向があるのか。そのひとつに、ボーダーが曖昧になり、混沌とした状況からスクラップアンドビルドではないが、新しい方向性が見えてくる。そこにクリエイティビティが見られるようになるというトレンドだ」と説明。そして、このテーマをベースにしたカラーの方向性は、「オープンな環境から生まれる新しい発想と、混沌から生まれる創造性を表現したカラーグループがメインになる」と松原さんはいう。
このテーマをもとにアジアパシフィックでは、「混沌とした社会がここ何年か続いており、生活者は疲れてきている。そこで癒しの意味でグリーンを提案する」。ただし、癒しのグリーンとはいえ、単に植物のグリーンという単純なものではない。「多肉植物や食虫植物など、生息地が特殊であるとか、歴史があるなどの植物が注目を浴びている。こういった特別感や背景のストーリなどに知識として興味をもって探求したいといった価値観も合わさっている」と述べる。そこで、「グリーンといってもさわやかなものではなく、少しスモーキーで抑え目なグリーンが提案されている」と語った。