大関照ノ富士(24=伊勢ケ浜)が横綱白鵬(31=宮城野)を破り、かど番脱出に王手をかけた。

 立ち合いで左に動いて右上手を取ると、あっさりと寄り切り。だが「勝ったと思った。横綱が力を抜いたから、どうしたのかと思ったら、仕切り直しだった」と、立行司式守伊之助の「待った」に気づかずやり直し。それでも「もう(変化は)ばれたから、思い切って行くしかない」と、真っ向勝負で左上手を引くと、出し投げで崩して一方的に寄り切った。白鵬戦は昨年九州場所以来の白星で7勝目を挙げ「良かったっす。想像していたより、自分の立ち合いが良かったのかな」と笑顔で振り返った。

 7日目に敗れた栃煌山戦に、勝利のヒントがあった。「立ち合いでどうやったら上手を取れるかというのが分かってきた。それからは、上手は全部、一瞬は届いている」。それが大一番で生きた。「なんか、感覚が分かるようになったというか。(負傷中の)脚が良くなったら、前の相撲ができるんじゃないかと思う。いま気づいたことを忘れずに、もっとうまくやっていきたい。気持ちを抜かないで、明日もしっかりやりたい」。得たものは、予想以上に大きい。