後(ご)の先(せん)、や~めた! 大相撲の横綱白鵬(31=宮城野)が28日、立ち合いで遅れたように見えて自分の体勢に持ち込む“秘技”を放棄することを明かした。名古屋場所(7月10日初日、愛知県体育館)を控え、表敬訪問した名古屋市の河村たかし市長との懇談中に「もう、後の先は捨てました。やめました。ひとつ間違えば、持っていかれますから」と話した。

 昭和の大横綱双葉山を見習い、こだわってきた取り口をやめたい理由があった。あと13勝に迫った通算1000勝の達成、そして歴代1位魁皇の1047勝を超えるためだ。「これからは攻めて“先の先”の感じで行こうかな」と笑った。

 審判部から注意を受けた悪癖も、後の先と同じく放棄する。河村市長から「土俵際でバーンってやるのは反対しない。もっと派手にやればいい」と駄目押しを容認される場面もあったが、白鵬はさすがに「駄目押ししないと言いましたから」と苦笑いで返した。

 千代の富士を超える歴代最多7度目の名古屋場所制覇も懸かる。「猛稽古で体を作っていく。1000勝を見せることができれば自然と天皇賜杯も手元にあると思う」。大台到達での38度目Vへ、自信たっぷりにうなずいた。【木村有三】