作者フェルドゥスィーは、イスラム化以前のペルシア(現イラン)に
目を向けていた人でした。イラン北東部マシュハッドには彼の大きな霊廟があり
そこではこの話にちなんだ場面が大理石造りの彫刻で飾られていて、
イランではとても親しまれている古典なのであります。
原文では神の巻から始まって王の歴史が描かれているそうですが、
ここでは最も有名なロスタム、ソホラープの話が中心につづられています。
互いの顔を知らない父と子が殺しあわねばならなくなるのです。
そしてその最期、ロスタムの行く末がもの悲しい。
個人的にはシィーモルグという怪鳥に育てられたロスタムの父ザールと
ルーダーベという王女との恋愛談が好きです。
『古事記』にあるようなヤマトタケル伝説にも似た味わい深い面があり、
尚且つ細やかで生き生きとした人物描写が続くので
わくわくしながら読み進むことがでします。
訳者の黒柳さんはあとがきに、抒情詩を日本語訳しただけにとどまった
と記していらっしゃいました。
確かに訳文だけでは私たちはペルシア語の韻を踏んだ、美しい発音から内容を
立ち上げることができませんけれど、しかしそれでも訳語の美しさは素晴らしかった。
最近では耳にすることの少なくなった、意味深い言葉が随所に散りばめられていて
読む者の心に深い印象を残してくれます。
私個人としては、黒柳さんご自身の古典への深い憧憬を感じ取れる一冊でした。

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王書(シャ-・ナ-メ): ペルシャ英雄叙事詩 (東洋文庫 150) 単行本 – 1969/11/1
アブール カースィム フィルドゥスィー
(著),
黒柳 恒男
(翻訳)
イランが世界に誇る詩聖フィルドゥスィーの大民族叙事詩。新興アラブに屈したイラン民族を鼓舞するため,諄々6万句を費やして謳いあげた過去一千年の栄光とロマンス。11世紀初頭に完成。その主要部を抄訳した。
- 本の長さ447ページ
- 言語日本語
- 出版社平凡社
- 発売日1969/11/1
- ISBN-104582801501
- ISBN-13978-4582801507
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登録情報
- 出版社 : 平凡社 (1969/11/1)
- 発売日 : 1969/11/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 447ページ
- ISBN-10 : 4582801501
- ISBN-13 : 978-4582801507
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