ディランが文学賞をとったのは、最近の (本国では歌詞を文字にしなくなった。ちなみに日本では、ディランの意向を汲み日本語訳のみCDに添えている) 思いついたコトバの羅列のような、難解な詞 (詩) に対してなんだろうなと思う。個人的には (ほとんどが意味不明であるため) しぶしぶ受け入れている昨今、(レコード盤をすべて捨てたため) 手元に無いことを思い出し、1985年発表のこれを購入した。
歌詞翻訳を見る。なにもかもが理解可能な内容。ラブソングが多いからかも知れない。曲のほうも、ロック、ブルース、バラードと、どれもカラダにすんなり沁み込むような内容。
どうしてディランは、いま、あんなふうになってしまったのか。ソングライティング再開という奇跡を生んだ、89年のアルバム 『オー・マーシー』 だってあんなではない。ディランは 「昂じてしまったのだ」 としか言い様がないほどだ。
つづく 『ノックト・アウト・ローデット』 とともに、しみじみ、懐かしく悦ばしい、これはディラン最高の1枚なのだとわたしは断じる。あの頃まで、ディランはほんとうに友だった。そういう意味では、いまは知らないところにいる誰かさん程度でしかない。