「転身」であって「変身」ではないという概念上の主張もあるでしょうが、まあ、一般に変身。
整形等の手術によって、別人に生まれ変わらせることをビジネスとした会社組織があり、取締役会がその行動方針を決定しています。
アーサー・ハミルトンの友人のチャーリーは、自身が生まれ変わる必要から、ハミルトンをこの生まれ変わりプロジェクトの餌食としてしまいます。
結局、ハミルトンの方は、このプロジェクトに適合できません。
トニー・ウィルソンという別の人格になってからも、生まれ変わる前の自分に執着せざるを得ないのです。
破滅します。
破滅する前に、アーサー・ハミルトンの生き方の全体をみまわす機会を得ます。
自身が自身をみつめるのです。
キリスト教よりもワインの祭りの似合う土着宗教の祭りの方がなじんでいます。
そのまなざしが、原始の人間の心をも見通すことになるのですが、そのことは全く主人公の運命を好転させはしません。
ただ、実際を知るだけに終わります。