講談社のニュートン関連書籍の担当者が一人きりだったのか複数いたのか全然知らないが、このプリンキピアにせよ、チャンドラ本にせよ、和田氏のBB本にせよ、講談社のニュートン本にはろくなものがない、というのが評者の実感だ。訳者、著者、編集者の全員に、科学史への尊敬の念が欠けているから、そんな体たらくになったのだと思う。
訳者は理系の人で、自然科学者の端くれとしてこの自然科学書の大古典を一度は読み通してみようと企て、遂に全訳に辿り着いた人らしい。翻訳完成まで知的ご苦労は多々あったに違いない想像する。
しかし、古典に関心を持っている理系人間には、やはり文献学の素養が欠けていることが多くて、それが当の古典文献にとって如何に傍迷惑となるか、この訳書もその一例ではあるまいか。
訳者が原本を入手しようとしたら、ラテン語原典は第1版(1678年)のものしかなかったそうだ。(たぶんそのリプリント版(1965年刊)なのだろうが。)しかし訳者はどうしても第3版を訳出したかった。どうも、理系の人たちには、新しい版ほど、旧版の誤りが正され内容が更新されてその信用度が増している、という信じ込みが巣食っているらしい。そこで訳者は、やはり手元にあった第3版の英訳本の原文を頼りに、第1版ラテン語原文と突き合わせながら、自前「プリンシピア」なる、ニュートン自身も ビックラの中野氏独自の、世界のどこにも存在しないキメラ・テキストをでっち上げてしまったのである。確かに第3版はニュートン自身の手で、天文学的数値の更新などによって科学的に改善されている個所もたくさん散見される。しかし、相対論と量子論が登場した20世紀以降の現代において、プリンキピア学問的誤差はほとんど無視してよい程度のものになっている。その意味で、現代プリンキピア訳は、第3版に固執する必要はないと思われるのである。むしろ、科学史的には第1版出版の方が衝撃的事件だったのであるから、折角翻訳紹介するのであれば、第1版をわれわれは選ぶべきなのである。これまで自然科学分野における短絡的な進歩主義がアダとなって、こうした見識を示す研究者はいなかったけれども。
更に、他の評者には評判のよい訳注だが、チャンドラの浩瀚な注解書に比べれば貧相なことこの上ない。そんなものを、Kindle版とは言え、再版しようなどというのには驚いた。呆れた。
中野氏の企てはそもそも自己満足の域なのだろうが、講談社の理系古典に対する舐めた姿勢には唾棄すべきものがある。編集担当者のあなた、恥を知りなさい!
蛇足。講談社からニュートン関連本を出している人たち。こんなレベルの訳本だったのに、中公の河辺訳じゃなくて、参考文献には必ず中野本を挙げてますけど、それって単なる破廉恥なおべっか使いじゃないんですか!?もっとも、河辺訳本もひどい訳本でしたけど、、、
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プリンシピア 自然哲学の数学的原理 (理工専門書) Kindle版
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。
【本電子書籍は1977年発行の『プリンシピア〈自然哲学の原理〉』の紙面をそのまま電子化しています。2019年より配信されている新書版(全3巻)もございます。】今日の物理学の原点ともいうべき「ニュートン力学」の根幹をなすもので、多くの物理学者、数学者、天文学者を魅了した真に独創的な著作とされる。第1、第2編では、諸物体の運動の形態が詳細に論じられ、第3編では、前2編で述べられた理論の応用例が議論されている。第3版の英訳をもとに原書を可能な限り正確かつ、今日の用語に置き換えて訳出。そのため巻末にはていねいな訳注がついている。現代人が読んでもその発想の素晴らしさと、ニュートンの天才ぶりに改めて驚嘆させられる。今だからこそ読んでほしい古典の中の古典。1977年に出版された『プリンシピア 自然哲学の数学的原理』を電子書籍で“復刊”。※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。
【本電子書籍は1977年発行の『プリンシピア〈自然哲学の原理〉』の紙面をそのまま電子化しています。2019年より配信されている新書版(全3巻)もございます。】今日の物理学の原点ともいうべき「ニュートン力学」の根幹をなすもので、多くの物理学者、数学者、天文学者を魅了した真に独創的な著作とされる。第1、第2編では、諸物体の運動の形態が詳細に論じられ、第3編では、前2編で述べられた理論の応用例が議論されている。第3版の英訳をもとに原書を可能な限り正確かつ、今日の用語に置き換えて訳出。そのため巻末にはていねいな訳注がついている。現代人が読んでもその発想の素晴らしさと、ニュートンの天才ぶりに改めて驚嘆させられる。今だからこそ読んでほしい古典の中の古典。1977年に出版された『プリンシピア 自然哲学の数学的原理』を電子書籍で“復刊”。※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日1977/9/16
- ファイルサイズ291924 KB
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登録情報
- ASIN : B00MOYKGS6
- 出版社 : 講談社 (1977/9/16)
- 発売日 : 1977/9/16
- 言語 : 日本語
- ファイルサイズ : 291924 KB
- Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) : 有効になっていません。
- X-Ray : 有効にされていません
- Word Wise : 有効にされていません
- 付箋メモ : 有効になっていません
- 本の長さ : 906ページ
- Amazon 売れ筋ランキング: - 333,381位Kindleストア (Kindleストアの売れ筋ランキングを見る)
- - 927位物理学 (Kindleストア)
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2008年6月8日に日本でレビュー済み
古典力学の古典であるプリンキピアはかなり難解な本です。
当たり前ながら現代物理学はなかなか広く一般的な常識とはなりません。
これは使われる数学が難解であるのに加え抽象的であるのが原因です。
その点では使われる物理の情報量としては古典物理より多く使われています。
学問を集合論的に述べれば古典力学は現代物理学の要素と位置付けが可能でしょう。
それが原因か現在では古典力学は簡単なものとされていますがそれは必ずしもプリンキピアに適応される訳ではありません。
それはプリンキピアは当時発展がまだ十分でない数学を用いて(この点は現代物理学でも同じであるが)世界を記述しなくてはならない。
そのために多くの試行錯誤が成されているのがプリンキピアであって 現在の古典力学の本のように合理的に簡素には書かれてはいない。
これは幾何学を勉強する人はリーマン幾何学など現代数学とユークリッドの初等幾何学とがあるが技巧的にはリーマン幾何学のほうが多く大変だがユークリッド幾何学等は多くの規則性がありそれを見抜かなくてはいけない難しさがありそういうこともふくめユークリッド原論を読むときもその思考の過程をそのまま追わなくてはいけないために結果から入るためにかなり難しいです。
天才の生み出した結論は簡単でもその思考は難しいわけです。
それをブランデー片手に趣味で読もうなんて考えている人なんかは全くそういうことが分かっていないと言えます。
古典を現代訳で読むなら寝ても読めますがましてや古語のまま読むのに(初めて)気を抜いて読める人がいたらあってみたいものです。
結論としましてはプリンキピアやユークリッド原論などの自然科学の古典はかなり難しい読物と言うことです。
当たり前ながら現代物理学はなかなか広く一般的な常識とはなりません。
これは使われる数学が難解であるのに加え抽象的であるのが原因です。
その点では使われる物理の情報量としては古典物理より多く使われています。
学問を集合論的に述べれば古典力学は現代物理学の要素と位置付けが可能でしょう。
それが原因か現在では古典力学は簡単なものとされていますがそれは必ずしもプリンキピアに適応される訳ではありません。
それはプリンキピアは当時発展がまだ十分でない数学を用いて(この点は現代物理学でも同じであるが)世界を記述しなくてはならない。
そのために多くの試行錯誤が成されているのがプリンキピアであって 現在の古典力学の本のように合理的に簡素には書かれてはいない。
これは幾何学を勉強する人はリーマン幾何学など現代数学とユークリッドの初等幾何学とがあるが技巧的にはリーマン幾何学のほうが多く大変だがユークリッド幾何学等は多くの規則性がありそれを見抜かなくてはいけない難しさがありそういうこともふくめユークリッド原論を読むときもその思考の過程をそのまま追わなくてはいけないために結果から入るためにかなり難しいです。
天才の生み出した結論は簡単でもその思考は難しいわけです。
それをブランデー片手に趣味で読もうなんて考えている人なんかは全くそういうことが分かっていないと言えます。
古典を現代訳で読むなら寝ても読めますがましてや古語のまま読むのに(初めて)気を抜いて読める人がいたらあってみたいものです。
結論としましてはプリンキピアやユークリッド原論などの自然科学の古典はかなり難しい読物と言うことです。
2008年5月8日に日本でレビュー済み
すてきな装丁の本なので、インテリアとして購入し、本棚に飾ってあります。
時間のあるときに、ブランデーなど傾けながら、読もうと思っています。
ニュートンの足跡を辿り、ニュートン力学のすばらしさと限界を確かめようと思っていました。
設計工学の本で引用しているので、設計者という視点で読みなおそうと思っています。
ユークリッドの原論も参考文献なので、どちらも読破をめざします。
時間のあるときに、ブランデーなど傾けながら、読もうと思っています。
ニュートンの足跡を辿り、ニュートン力学のすばらしさと限界を確かめようと思っていました。
設計工学の本で引用しているので、設計者という視点で読みなおそうと思っています。
ユークリッドの原論も参考文献なので、どちらも読破をめざします。