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夢見通りの人々 (新潮文庫) 文庫 – 1989/4/7
宮本 輝
(著)
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ひと癖もふた癖もある夢見通りの住人たちが、ふと垣間見せる愛と孤独の表情を描いて忘れがたい印象を残すオムニバス長編小説。
- 本の長さ284ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日1989/4/7
- 寸法14.8 x 10.5 x 2 cm
- ISBN-104101307059
- ISBN-13978-4101307053
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登録情報
- 出版社 : 新潮社 (1989/4/7)
- 発売日 : 1989/4/7
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 284ページ
- ISBN-10 : 4101307059
- ISBN-13 : 978-4101307053
- 寸法 : 14.8 x 10.5 x 2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 71,247位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1947(昭和22)年、兵庫県神戸市生れ。追手門学院大学文学部卒業。
広告代理店勤務等を経て、1977年「泥の河」で太宰治賞を、翌年「螢川」で芥川賞を受賞。その後、結核のため二年ほどの療養生活を送るが、回復後、旺盛な執筆活動をすすめる。『道頓堀川』『錦繍』『青が散る』『流転の海』『優駿』(吉川英治文学賞)『約束の冬』『にぎやかな天地』『骸骨ビルの庭』等著書多数。
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2021年10月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
著者の本は時々読みたくなる。登場人物がどんなに気弱でもどこかで必ず感情をむき出しにする所や欠陥だらけのユニークな人物が何とも言えない心の処方箋になっているのかもしれない。。。
2000年12月29日に日本でレビュー済み
人にはそれぞれ人生の積み重ねた過去があり、それが現在の性格や行動につながっている。
登場人物の一人一人の表面的な滑稽さと、その内面や過去まで掘り下げて、人間とは欲望のかたまりであり、エゴのかたまりであり、いい人であろうともがいている、そんなぐちゃぐちゃしたものを宮本氏の独特な表現方法ですんなりとまとめられ、ある意味楽しく読めて、気がつくとすっかり引き込まれる、そんな作品です。
登場人物の一人一人の表面的な滑稽さと、その内面や過去まで掘り下げて、人間とは欲望のかたまりであり、エゴのかたまりであり、いい人であろうともがいている、そんなぐちゃぐちゃしたものを宮本氏の独特な表現方法ですんなりとまとめられ、ある意味楽しく読めて、気がつくとすっかり引き込まれる、そんな作品です。
2023年5月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
夢見通りという美しい名前を持つ商店街を舞台にした連作長編小説。しかし、その住人たちは決して美しい生活を送っているわけではない。
全十編の短編小説からなるが、どれもあまりハッピーエンドではない。とこかやるせない人間模様が描かれている。
全十編の短編小説からなるが、どれもあまりハッピーエンドではない。とこかやるせない人間模様が描かれている。
2021年2月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
10章の短編からなる物語。一人の少し気弱で気持ちの優しい青年が10章の物語を紡いでいく。それぞれの短編の主人公たちは、みんな生きてきた過程の中で傷つきながらそれでも自分に正直に懸命に生きている。ハッピーエンドはないけど、読み終わると気持ちが優しくなって、少し悲しくなる。そんな物語だった。
2013年12月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
市井を生きる人々の真剣な日常を描きだすのが、宮本輝の小説の魅力。本書は登場人物がかなりアウトローな感じでしたが、さすが宮本輝だけあって、いつのまにか感情移入してしまいました。彼のファンならば読む十分価値あります。
2015年6月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
宮本氏の作品には個性的な人物が数多く登場する、本書でも色々な人を登場し、その場所を、どの街にもある商店街と言う、色々な商店に置いています。そこに集う人物達に個性を持たせ、それらの人々に勝手に仕事をさせている様にも思えます。
作者の意志では無く恰も登場人物たちが勝手に物語を作っている様に。それも読み手には全く嫌な気にさせる事なく読んでいて、こちらが感動させられてしまう。殊に元ヤクザ竜一と竜二が登場し、見た目悪と心根良の違いが読んでいてホッとさせられました。更に、彼らが商店街の人々から認められていく様は読んでいて清々しくなってしまいました。
本書に限らず宮本氏は多数の登場人物を排出しているが、現代に有りがちな作られた人物では無い。自然に表れた人物達に宮本氏は、ただ魂を与えているだけの様にも思える。優れた内容の濃い一冊。秀作でした!
「夢見通り」
里見春太は通信教育の添削指導をする出版社の社員で、自費で自分の書いた詩集を出版したいと思っていた。素朴で何を考えているのか分からない様なおっとりした性格だった。夢見通り商店街にある若菜かもぼこ店の二階に住む。夕食のため商店街の大楼軒に行くと夫のワンさんが折しも夫婦喧嘩の真っ最中で、ワンさんが妻を投げ飛ばした。飛ばされた妻も妻で見事にすっ飛び見事に着地する。その描写が面白くて私はここで大笑いしてしまった。
「つばめの巣」
古川文具店の中に畳一畳ほどのタバコ店を営むトミの存在が文具店店主にとって目障りな存在だった。ある夜トミの店は理不尽な行為によって滅茶苦茶にされる。春太の心の優しさが伝わり、それを感謝するトミの心中も伺え胸をうたれる。
「時計屋の息子」
村田時計店の高校生の息子、哲太郎には幼い頃から悪い習慣の盗癖があった。そんな彼なりの苦悩を父英介は少なからず自分の責任も感じるが、いつまでも大人になれない哲太郎の哀れさが読んでいて情けない。
「肉の鏡」
タツミ精肉店の兄弟、竜一と竜二は共に若い頃、悪行を重ねていた。家に戻って家業を手伝いたいと言ったが、父は、なかなか許さなかった。明美の姿を映して、竜一が己の醜さを考え始めるところが絶妙に書かれています。
「18回目の逃亡」
夢見通り商店街に何度も店名を変える出版社があった。春太はアルバイトを頼まれるが、それは胡散臭い競馬の必勝法が書かれた本を一冊30万円で売る店だった。いかがわしいと思いながらも欲に目がくらみ、預金を下ろして買おうと迷ってしまう春太の人の心の弱さが表れて、人間が欲に溺れる姿が読めました。
「宝石箱の中」
路上に置かれた宝石箱を拾い、何の気無しに持ち帰ってしまった白百合美容院に住み込みで働く光子は、処分に困ってしまう。相談したのは、商店街では悪名高い竜一だった。ところが、噂とは違い親身になって話を聞いてあげる竜一の心優しい一面が伺え気持ち良かったです。
「帰り道」
時計屋の息子哲太郎とパチンコ屋の娘理恵が飛び出してから半年たった。有り金を使い果たし大阪へ帰る二人だが、理恵は早くも心に変化があった。理恵が一人の女として立ち上がるのと、哲太郎のいつまで経っても大人になれない姿を対照的に表現して、女は男より早く巣立っていく事が伺えた。
「白い垢」
スナックシャレードのママ奈津は生まれながらに顔に痣があり、それを隠すために厚めの化粧をしていた。でも、奈津は己の心の中を隠すためだったのだと言う事に気が付く。奈津が傷つかぬように父がかけた言葉が実に愛情のこもった言葉でした。
「波まくら」
タツミ精肉店の竜二が所帯を持つ事になった。兄竜一も感化され憧れるが、刺青をとってくれたら一緒になっても良いと言う女性が表れる。なんとか直したいと竜一は思い春太に相談を持ち掛ける。春太はその女性の事を知り驚き悩み失望し竜一に正直な気持ちになれない。男なら同感できる心情が痛いほど良く分かる。
「洞窟の火」
スナックシャレードが店を閉める事になり、無料で「お別れパーティー」を開く事になった。飲み放題、食べ放題と書かれた招待状に春太も出席する。商店街で登場した人物がほとんど集うパーティーになる。そのパーティーも盛り上がるが??
人々の印象が本書を読み始めた時のものとは全く違って見える事に驚かされてしまう。宮本氏の筆力のなせる業だ。
作者の意志では無く恰も登場人物たちが勝手に物語を作っている様に。それも読み手には全く嫌な気にさせる事なく読んでいて、こちらが感動させられてしまう。殊に元ヤクザ竜一と竜二が登場し、見た目悪と心根良の違いが読んでいてホッとさせられました。更に、彼らが商店街の人々から認められていく様は読んでいて清々しくなってしまいました。
本書に限らず宮本氏は多数の登場人物を排出しているが、現代に有りがちな作られた人物では無い。自然に表れた人物達に宮本氏は、ただ魂を与えているだけの様にも思える。優れた内容の濃い一冊。秀作でした!
「夢見通り」
里見春太は通信教育の添削指導をする出版社の社員で、自費で自分の書いた詩集を出版したいと思っていた。素朴で何を考えているのか分からない様なおっとりした性格だった。夢見通り商店街にある若菜かもぼこ店の二階に住む。夕食のため商店街の大楼軒に行くと夫のワンさんが折しも夫婦喧嘩の真っ最中で、ワンさんが妻を投げ飛ばした。飛ばされた妻も妻で見事にすっ飛び見事に着地する。その描写が面白くて私はここで大笑いしてしまった。
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古川文具店の中に畳一畳ほどのタバコ店を営むトミの存在が文具店店主にとって目障りな存在だった。ある夜トミの店は理不尽な行為によって滅茶苦茶にされる。春太の心の優しさが伝わり、それを感謝するトミの心中も伺え胸をうたれる。
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村田時計店の高校生の息子、哲太郎には幼い頃から悪い習慣の盗癖があった。そんな彼なりの苦悩を父英介は少なからず自分の責任も感じるが、いつまでも大人になれない哲太郎の哀れさが読んでいて情けない。
「肉の鏡」
タツミ精肉店の兄弟、竜一と竜二は共に若い頃、悪行を重ねていた。家に戻って家業を手伝いたいと言ったが、父は、なかなか許さなかった。明美の姿を映して、竜一が己の醜さを考え始めるところが絶妙に書かれています。
「18回目の逃亡」
夢見通り商店街に何度も店名を変える出版社があった。春太はアルバイトを頼まれるが、それは胡散臭い競馬の必勝法が書かれた本を一冊30万円で売る店だった。いかがわしいと思いながらも欲に目がくらみ、預金を下ろして買おうと迷ってしまう春太の人の心の弱さが表れて、人間が欲に溺れる姿が読めました。
「宝石箱の中」
路上に置かれた宝石箱を拾い、何の気無しに持ち帰ってしまった白百合美容院に住み込みで働く光子は、処分に困ってしまう。相談したのは、商店街では悪名高い竜一だった。ところが、噂とは違い親身になって話を聞いてあげる竜一の心優しい一面が伺え気持ち良かったです。
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時計屋の息子哲太郎とパチンコ屋の娘理恵が飛び出してから半年たった。有り金を使い果たし大阪へ帰る二人だが、理恵は早くも心に変化があった。理恵が一人の女として立ち上がるのと、哲太郎のいつまで経っても大人になれない姿を対照的に表現して、女は男より早く巣立っていく事が伺えた。
「白い垢」
スナックシャレードのママ奈津は生まれながらに顔に痣があり、それを隠すために厚めの化粧をしていた。でも、奈津は己の心の中を隠すためだったのだと言う事に気が付く。奈津が傷つかぬように父がかけた言葉が実に愛情のこもった言葉でした。
「波まくら」
タツミ精肉店の竜二が所帯を持つ事になった。兄竜一も感化され憧れるが、刺青をとってくれたら一緒になっても良いと言う女性が表れる。なんとか直したいと竜一は思い春太に相談を持ち掛ける。春太はその女性の事を知り驚き悩み失望し竜一に正直な気持ちになれない。男なら同感できる心情が痛いほど良く分かる。
「洞窟の火」
スナックシャレードが店を閉める事になり、無料で「お別れパーティー」を開く事になった。飲み放題、食べ放題と書かれた招待状に春太も出席する。商店街で登場した人物がほとんど集うパーティーになる。そのパーティーも盛り上がるが??
人々の印象が本書を読み始めた時のものとは全く違って見える事に驚かされてしまう。宮本氏の筆力のなせる業だ。