「二人の友」は、巻頭を飾るにふさわしいないようではないだろうか。普仏戦争でパリが包囲され、市民は飢餓に疲弊し、雀や鼠など、手に入るものは何でも食べていたという。そして魚を釣りに出かけた二人のフランス人が、銃で撃たれて死亡するという内容である。それから「母親」は、やはり普仏戦争で息子を失った母親が4人のプロシア兵に親切にしながら、復讐するというものである。「二十九号の寝台」は、おぞましい描写が飛び出すのだが、やはり戦争の悲惨さを見事に書いている。「廃兵」は、戦争で両足を失った兵士が元のフィアンセを訪れる話であるが、少しホッとする。
300もの短編を書いたモーパッサンだが、この3冊に取り上げられたのはほんの一部である。そのどれもが傑作とは言えないかもしれないが、読ませるものがあるのは間違いない。
プライム無料体験をお試しいただけます
プライム無料体験で、この注文から無料配送特典をご利用いただけます。
非会員 | プライム会員 | |
---|---|---|
通常配送 | ¥410 - ¥450* | 無料 |
お急ぎ便 | ¥510 - ¥550 | |
お届け日時指定便 | ¥510 - ¥650 |
*Amazon.co.jp発送商品の注文額 ¥2,000以上は非会員も無料
無料体験はいつでもキャンセルできます。30日のプライム無料体験をぜひお試しください。
新品:
¥649¥649 税込
ポイント: 6pt
(1%)
無料お届け日:
3月31日 日曜日
発送元: Amazon.co.jp 販売者: Amazon.co.jp
新品:
¥649¥649 税込
ポイント: 6pt
(1%)
無料お届け日:
3月31日 日曜日
発送元: Amazon.co.jp
販売者: Amazon.co.jp
中古品: ¥57
中古品:
¥57

無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
モーパッサン短編集(三) (新潮文庫) 文庫 – 1971/3/1
{"desktop_buybox_group_1":[{"displayPrice":"¥649","priceAmount":649.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"649","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"vQcm5nnM1Tnz9U21UYfDC3y9%2FcOvYzAZiRQbNvZBN1XSmPeD%2BdGXIpGIRpX8TZ8E2ryyNiXDbjps4keqYFBpJHkbS96ZO5AqnS%2BOtmfykRyH0uCyp2fu0Cd6O6l1PRRs","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"NEW","aapiBuyingOptionIndex":0}, {"displayPrice":"¥57","priceAmount":57.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"57","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"vQcm5nnM1Tnz9U21UYfDC3y9%2FcOvYzAZ0JUdoOrQ0a85KLIEbFD0IGs9S%2Br6wqSo9rgPdznwga1G1CjAwFQrzbXSb1rNsx7XzcJUyR67aYAwEh8aFhwPZb6db2G0qBO8elagj5%2B95Q5oIAd1Nd%2Fcx4aE%2B9d0VQaUZFGdyWMSbHPhEcki5EuJPQ%3D%3D","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"USED","aapiBuyingOptionIndex":1}]}
購入オプションとあわせ買い
全360編の中・短篇から65編を厳選し3巻に。
この第3集では、自らも従軍した普仏戦争を扱った「戦争もの」、
超自然現象に材を取った「怪奇もの」を集めた。
1870年に普仏戦争が勃発し、当時20歳のモーパッサンは召集され、つぶさにその目で戦争を見た。この経験は後年、数多くの戦争をテーマにした作品を書かせたが、本巻にはその戦争ものと、超自然現象に取材した怪奇ものを集めた。
のんびりと釣りを楽しんでいた二人の市民がスパイに間違えられ無残にも銃殺されてしまうまでを坦々と描いた「二人の友」や「母親」「ミロンじいさん」など。
【目次】
二人の友(Deux amis)
狂女(La folle)
母親(La mere sauvage)
口ひげ(La moustache)
ミロンじいさん(Le pere Millon)
二十九号の寝台(Le lit 29)
捕虜(Les prisonniers)
ヴァルター・シュナッフスの冒険(L'aventure de Walter Schnaffs)
廃兵(L'infirme)
従卒(L'ordonnance)
恐怖(La peur)
オルラ(Le Horla)
たれぞ知る(Qui sait)
手(La main)
水の上(Sur l'eau)
山の宿(L'auberge)
狼(Le loup)
月光(Clair de lune)
パリ人の日曜日(Les dimanches d'un bourgeois de Paris)
訳者あとがき
本書収録「二人の友」より
その間も、ヴァレリヤン山はひっきりなしにとどろきながら、砲弾でフランスの家々を破壊し、多くの生命を粉砕し、多くの存在を蹂躙し、幾多の夢、幾多の歓びの期待、幾多のあこがれの幸福に終止符をうち、はるかな国もとにいる妻の心に、娘の心に、母の心に、終生癒えることのない傷口をあけつつあるのだった。
「これが生きるということですよ」と、ソヴァージュさんは言いはなった。
「これが死ぬということですよ、と申したいところですな」と、モリソーは笑いながら言った。(15ページ)
モーパッサン Maupassant, Guy de(1850-1893)
フランス生れ。母親の実兄の親友であるフローベールに師事し、創作の指導を受ける。1880年普仏戦争を扱った中編『脂肪の塊』で作家としての地位を確立、以後10年間で『女の一生』等の長編を6作と『テリエ館』「月光」「オルラ」等の中短編を300余次々に発表した。1892年自殺を図り、翌年パリの精神病院で生涯を閉じた。
青柳瑞穂(1899-1971)
山梨県生れ。慶応義塾大学仏文科卒。堀口大學に師事。詩作の一方、ルソー『孤独な散歩者の夢想』等の翻訳、『ささやかな日本発掘』(読売文学賞)等の評論の分野で幅広く活躍。
この第3集では、自らも従軍した普仏戦争を扱った「戦争もの」、
超自然現象に材を取った「怪奇もの」を集めた。
1870年に普仏戦争が勃発し、当時20歳のモーパッサンは召集され、つぶさにその目で戦争を見た。この経験は後年、数多くの戦争をテーマにした作品を書かせたが、本巻にはその戦争ものと、超自然現象に取材した怪奇ものを集めた。
のんびりと釣りを楽しんでいた二人の市民がスパイに間違えられ無残にも銃殺されてしまうまでを坦々と描いた「二人の友」や「母親」「ミロンじいさん」など。
【目次】
二人の友(Deux amis)
狂女(La folle)
母親(La mere sauvage)
口ひげ(La moustache)
ミロンじいさん(Le pere Millon)
二十九号の寝台(Le lit 29)
捕虜(Les prisonniers)
ヴァルター・シュナッフスの冒険(L'aventure de Walter Schnaffs)
廃兵(L'infirme)
従卒(L'ordonnance)
恐怖(La peur)
オルラ(Le Horla)
たれぞ知る(Qui sait)
手(La main)
水の上(Sur l'eau)
山の宿(L'auberge)
狼(Le loup)
月光(Clair de lune)
パリ人の日曜日(Les dimanches d'un bourgeois de Paris)
訳者あとがき
本書収録「二人の友」より
その間も、ヴァレリヤン山はひっきりなしにとどろきながら、砲弾でフランスの家々を破壊し、多くの生命を粉砕し、多くの存在を蹂躙し、幾多の夢、幾多の歓びの期待、幾多のあこがれの幸福に終止符をうち、はるかな国もとにいる妻の心に、娘の心に、母の心に、終生癒えることのない傷口をあけつつあるのだった。
「これが生きるということですよ」と、ソヴァージュさんは言いはなった。
「これが死ぬということですよ、と申したいところですな」と、モリソーは笑いながら言った。(15ページ)
モーパッサン Maupassant, Guy de(1850-1893)
フランス生れ。母親の実兄の親友であるフローベールに師事し、創作の指導を受ける。1880年普仏戦争を扱った中編『脂肪の塊』で作家としての地位を確立、以後10年間で『女の一生』等の長編を6作と『テリエ館』「月光」「オルラ」等の中短編を300余次々に発表した。1892年自殺を図り、翌年パリの精神病院で生涯を閉じた。
青柳瑞穂(1899-1971)
山梨県生れ。慶応義塾大学仏文科卒。堀口大學に師事。詩作の一方、ルソー『孤独な散歩者の夢想』等の翻訳、『ささやかな日本発掘』(読売文学賞)等の評論の分野で幅広く活躍。
- 本の長さ428ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日1971/3/1
- 寸法14.8 x 10.5 x 2 cm
- ISBN-10410201408X
- ISBN-13978-4102014080
よく一緒に購入されている商品

対象商品: モーパッサン短編集(三) (新潮文庫)
¥649¥649
最短で3月31日 日曜日のお届け予定です
残り7点(入荷予定あり)
総額:
当社の価格を見るには、これら商品をカートに追加してください。
ポイントの合計:
pt
もう一度お試しください
追加されました
一緒に購入する商品を選択してください。
この商品を買った人はこんな商品も買っています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
出版社より
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
|
---|---|---|---|---|---|
モーパッサン短編集〔一〕 | モーパッサン短編集〔二〕 | モーパッサン短編集〔三〕 | 女の一生 | 脂肪の塊・テリエ館 | |
カスタマーレビュー |
5つ星のうち4.2
20
|
5つ星のうち4.2
19
|
5つ星のうち4.7
16
|
5つ星のうち4.1
52
|
5つ星のうち4.0
21
|
価格 | ¥781¥781 | ¥693¥693 | ¥649¥649 | ¥649¥649 | ¥506¥506 |
【新潮文庫】『モーパッサン短編集』 | モーパッサンの真価が発揮された傑作短編集。わずか10年の創作活動の間に生み出された多彩な作品群から精選された65編を収録する。 | 修道院で教育を受けた清純な娘ジャンヌを主人公に、結婚の夢破れ、最愛の息子に裏切られていく生涯を描いた自然主義小説の代表作。 | ”脂肪の塊”と渾名される可憐な娼婦のまわりに、ブルジョワどもがめぐらす欲望と策謀の罠──鋭い観察眼で人間の本質を捉えた作品。 |
登録情報
- 出版社 : 新潮社; 改版 (1971/3/1)
- 発売日 : 1971/3/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 428ページ
- ISBN-10 : 410201408X
- ISBN-13 : 978-4102014080
- 寸法 : 14.8 x 10.5 x 2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 188,779位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 278位フランス文学 (本)
- - 3,834位新潮文庫
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。

著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2005年2月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
モーパッサン短編集1が「田舎編」、2が「パリ編」ならばこれは前半が「戦争編」、後半が「オカルト編」といえる。「戦争編」は好きだが「オカルト編」は私の趣味でないので、愛読書ではあるが星4つとした。「戦争編」のうち「2人の友」は確か中学の国語の教材だった記憶がある。私のお気に入りは「母親」「廃兵」の2点。
2022年3月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
書き急ぎ、生き急ぎ、読者に阿ない小説を書くモーパッサンの短編集Ⅲを読み終えた。
普仏戦争でモーパッサン自身が体験したことから、この短編を容赦なくリアルに描いている。
モーパッサンの短編は、残酷で不条理に終えるものが多いが、よほど戦争で悲惨な体験をしたのだろう。
怪奇小説もモーパッサンならではの個性があり、読者の意表を突く結末で終えている。
本書のなかで評者がもっとも気に入った作品は、『パリの日曜日』という中編だった。
戦争の不条理を、モーパッサンがこの物語のなかの登場人物ラード君に語らせる言葉が時宜を得ているので下に転載したい。
「数百万の人間を、優秀な知識人を、学者を、天才さえもを、一人の人間の気まぐれな意思にゆだねるということはですね、その唯一人が、調子づいたり、狂気じみたり、酔っぱらったり、恋をしたりする拍子に、ふとした出来心で、全国民を犠牲にしかねないだろうし、全国民によって積み上げられた国家の富を蕩尽するだろうし、数千の人間を戦場の屍にさらすだろうから、そういう一人の人間に国民をまかすということは、わたしのような純然たる推論家には、出来そこないの変態としか思えません。」(P358)
モーパッサンがこの小説に登場させたラード君が語っているのは、今、我々が目の前にしているロシアのプーチンその人なのです。
モーパッサンの短篇集Ⅲを、なんともやりきれない気持ちで読み終えました。
普仏戦争でモーパッサン自身が体験したことから、この短編を容赦なくリアルに描いている。
モーパッサンの短編は、残酷で不条理に終えるものが多いが、よほど戦争で悲惨な体験をしたのだろう。
怪奇小説もモーパッサンならではの個性があり、読者の意表を突く結末で終えている。
本書のなかで評者がもっとも気に入った作品は、『パリの日曜日』という中編だった。
戦争の不条理を、モーパッサンがこの物語のなかの登場人物ラード君に語らせる言葉が時宜を得ているので下に転載したい。
「数百万の人間を、優秀な知識人を、学者を、天才さえもを、一人の人間の気まぐれな意思にゆだねるということはですね、その唯一人が、調子づいたり、狂気じみたり、酔っぱらったり、恋をしたりする拍子に、ふとした出来心で、全国民を犠牲にしかねないだろうし、全国民によって積み上げられた国家の富を蕩尽するだろうし、数千の人間を戦場の屍にさらすだろうから、そういう一人の人間に国民をまかすということは、わたしのような純然たる推論家には、出来そこないの変態としか思えません。」(P358)
モーパッサンがこの小説に登場させたラード君が語っているのは、今、我々が目の前にしているロシアのプーチンその人なのです。
モーパッサンの短篇集Ⅲを、なんともやりきれない気持ちで読み終えました。