この本は、ジョン・ヒューストン監督ウォルター・ヒューストン、ハンフリー・ボガート主演の黄金という映画の原作です。
作者のB・トレイヴンと言う人は、謎の作家と言われています。
いつも公の場所に姿を見せず、ジョン・ヒューストンも会おうとしても代理の人しかよこしてくれなかったり したそうです。
ドイツにいたのか、アメリカ人なのか、なぞだ・・・と思われていたみたいです。
しかし、きっとアメリカにいただろう、と思われるほどアメリカやメキシコに詳しいのですが、どうもドイツ人だったらしい・・・ということが、やはりドイツ人の映画監督ダグラス・サークの証言を突き詰めていって判断されています。
あの頃のドイツ人はナチスに賛同できるか否か、ましてユダヤ人か否か、によって、作家のような公の立場に立つ可能性のあるひとでも、身を隠したくなるような、とても大変な、用心深くいなくてはならない時代だったそうです。権力によって、ユダヤ人に生まれた、というだけで、自由を奪われ命を奪われるかもしれない、という恐怖は日本人には到底実感できない恐怖と用心深さであるらしいのです。
そういうわけで、この小説はお金がなくてどん底のメキシコをさまよっているアメリカ人が黄金の誘惑に誘われていろいろ体験する、人間の根本的欲望や品性、と言ったことを大変面白く描いています。
ヒューストンの映画よりも更に細かく面白い、メキシコやいろんな場所、状況の描写が出てきます。私は文学や小説がどのように歴史上評価されるべきか分かりませんが、この小説は埋まってしまうには余りにも惜しい、人間の面白くもおかしくもある、ハードだけど暖かい生態を表している著作だと思います。

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