
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
心理学 上 (岩波文庫 青 640-4) 文庫 – 1992/12/16
- 本の長さ341ページ
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日1992/12/16
- ISBN-10400336404X
- ISBN-13978-4003364048
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2008年2月27日に日本でレビュー済み
大著「心理学原理」の縮刷版とのこと。心理学に一区切り付けた後、哲学へ進み、事実上のプラグマティズムの領袖となったジェームズだが、読んでみると、予想通り、著者の哲学関係の書籍以上に、スリリングな「哲学」的な内容を含む。上巻では、視覚、聴覚、触覚、脳など純生物、生理的な側面からの実験心理学の成果の説明から、「意識の流れ」「習慣」「自我」など、心理学の枠を大きく飛び越え、哲学思想に関する領域に健筆を振う。心理学の門外漢には、意識の流れ以降の叙述が興味深く、西田、プラグマティズム、そして漱石にも影響したと思われる叙述がスリリングだ。「自我」においては、ミードのIとmeの原型に近いアイデアが出てくる。より広範な概念として登場するのが興味深い。たとえ話や事例が、なかなか野暮ったく面白いし、著者の人物観や人生観が垣間見られて「学」とは別の興味がわく。後年ラッセルに、ビジネスマンのような哲学だ、と揶揄される根拠がここにあるが、自分はむしろそういう点が面白かった。「自尊心」が「願望」に対する「成功」の比率だ、とする等式は、笑った。すると売上達成率とは自尊心かと思うと愉快だが、願望に該当するのが押し付けの販売目標値だと思うと、苦笑いに変わる。なかなか人生を楽しくしてくれる。著者は古典哲学への造詣も深く、ヘーゲルには批判的だが、第3者的には、フィヒテ、ヘーゲルにとてもよく似ているところがあると思う。翻訳も明快で名訳。不案内な心理学の叙述も一般教養課程を思い出し十分楽しめた。
2020年8月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この本はどうしても読みたかった本で、日本ではプラグマティズムの哲学者としては有名でも、心理学者としてのウィリアム・ジェームスは、ほぼ知られてない。その理由は、学際政治の宣伝力の差といっても過言ではない。日本に紹介される心理学の著書は、戦前に翻訳されていたものを翻訳者の息子が現代文に改訳したのがこの本。現代の日本でも、藤波尚美「ウィリアム・ジェームズと心理学―現代心理学の源流」のたった1冊しか心理学者としての彼を紹介する本が無いのはどういうことなのだろうか?アメリカでは、死後100年を経てなお「アメリカ最大の心理学者」と評価され続けているにもかかわらずである。
私もリチャード・ワイズマン「 その科学があなたを変える 」を読んだ際に、ウィリアム・ジェームス「心理学原理」をむさぼり読んだエピソードがあった。それが長くとても気になっていた。古本屋を立ち寄るも、戦前の書体の上下巻に出くわして購入して読んでみるが、さすが旧漢字が多すぎて挫折(笑)。アマゾンで買いなおして、1か月かかってようやく読了した。はっきり言って、第1章から9章は現代の生物学や生理学を読んだ方が良いし、大脳生理学に至っては、かなり詳細がわかったのは80年代以降なので、今では改善すべき見解もあるので、読んでいてかなりきつかった。
この本の真骨頂は、上巻は、第10章「習慣」、第11章「意識の流れ」、第13章「注意」である。
特に第10章「習慣」は必読。
・習慣は社会の偉大なはずみ車であり、最も企業な旧主力を社会の中で果たしている。
・習慣こそ、われわれすべてをその教養と、初めの選択の線に沿って、最後まで人生の奮闘をするように運命づけ、自分に合わない仕事であっても、そのほかに適当なものがなく、新しく始めるには遅すぎるために、これに最善を尽くさせるものである。
・第一の格言は、新しい習慣を獲得したり、古い習慣を打破するときには、できるだけ強固かつ断固とした積極性をもって始めるよう注意しなければならない。
・第二の格言は、新しい習慣があなたの生活の中にしっかりと根を下ろすまでは、決して例外の起こることを許してはならない。
・第三の格言(略)、あななたの行うすべての決心に基づいて、また身につけようと願っている習慣の方向にあなたを情緒的に駆り立てるすべの力に基づいて、正に最初に動作できる機会を捉えなさい。
小説や芝居見物を耽溺する人には耳の痛いことも書いてある。
「ロシアの婦人が、自分の馬車の御者が戸外の座席で凍え死にそうになっているのに、劇中の架空の人物を見て涙を流しているというようなことは、これほどひどくはないにしても、どこでも起こっていることである。自分自身で演奏することもせず、そうかと言って純粋に知的に理解できるほどの音楽的才能もない人が過度に音楽に凝りすぎることも、おそらくその性格を軟弱なものにさせる」
私が小説やテレビドラマやアニメなどを見なくなった理由はそれだ。ゲーテの「ファウスト」に感動しつつ、ユダヤ人の収容されているガス室のスイッチを押す行為が人間には可能だという事実こそ、考えなくてはいけないことだ。
あと、同時代にエルンスト・マッハの著書がアメリカでも読まれていたことは注目に値する。補填すべき著書は多いが、エルンスト・マッハ「 感覚の分析 」なども参考にできそう。この頃、錯視効果に注目している心理学者が多かった様で、マッハも錯視を発見してる。
プラグマティズムの哲学の萌芽があちこちに見受けれられる著書で、書かれている内容が学生達に向けて書かれている要約版の為、読みやすいことは助かった。1つ問題なのは、現代の生理学では、どこが間違いで改善すべきところかの補注を入れて欲しかったことだ。
私もリチャード・ワイズマン「 その科学があなたを変える 」を読んだ際に、ウィリアム・ジェームス「心理学原理」をむさぼり読んだエピソードがあった。それが長くとても気になっていた。古本屋を立ち寄るも、戦前の書体の上下巻に出くわして購入して読んでみるが、さすが旧漢字が多すぎて挫折(笑)。アマゾンで買いなおして、1か月かかってようやく読了した。はっきり言って、第1章から9章は現代の生物学や生理学を読んだ方が良いし、大脳生理学に至っては、かなり詳細がわかったのは80年代以降なので、今では改善すべき見解もあるので、読んでいてかなりきつかった。
この本の真骨頂は、上巻は、第10章「習慣」、第11章「意識の流れ」、第13章「注意」である。
特に第10章「習慣」は必読。
・習慣は社会の偉大なはずみ車であり、最も企業な旧主力を社会の中で果たしている。
・習慣こそ、われわれすべてをその教養と、初めの選択の線に沿って、最後まで人生の奮闘をするように運命づけ、自分に合わない仕事であっても、そのほかに適当なものがなく、新しく始めるには遅すぎるために、これに最善を尽くさせるものである。
・第一の格言は、新しい習慣を獲得したり、古い習慣を打破するときには、できるだけ強固かつ断固とした積極性をもって始めるよう注意しなければならない。
・第二の格言は、新しい習慣があなたの生活の中にしっかりと根を下ろすまでは、決して例外の起こることを許してはならない。
・第三の格言(略)、あななたの行うすべての決心に基づいて、また身につけようと願っている習慣の方向にあなたを情緒的に駆り立てるすべの力に基づいて、正に最初に動作できる機会を捉えなさい。
小説や芝居見物を耽溺する人には耳の痛いことも書いてある。
「ロシアの婦人が、自分の馬車の御者が戸外の座席で凍え死にそうになっているのに、劇中の架空の人物を見て涙を流しているというようなことは、これほどひどくはないにしても、どこでも起こっていることである。自分自身で演奏することもせず、そうかと言って純粋に知的に理解できるほどの音楽的才能もない人が過度に音楽に凝りすぎることも、おそらくその性格を軟弱なものにさせる」
私が小説やテレビドラマやアニメなどを見なくなった理由はそれだ。ゲーテの「ファウスト」に感動しつつ、ユダヤ人の収容されているガス室のスイッチを押す行為が人間には可能だという事実こそ、考えなくてはいけないことだ。
あと、同時代にエルンスト・マッハの著書がアメリカでも読まれていたことは注目に値する。補填すべき著書は多いが、エルンスト・マッハ「 感覚の分析 」なども参考にできそう。この頃、錯視効果に注目している心理学者が多かった様で、マッハも錯視を発見してる。
プラグマティズムの哲学の萌芽があちこちに見受けれられる著書で、書かれている内容が学生達に向けて書かれている要約版の為、読みやすいことは助かった。1つ問題なのは、現代の生理学では、どこが間違いで改善すべきところかの補注を入れて欲しかったことだ。