1961年ベルリン国際映画祭グランプリ(金熊賞)
1962年キネマ旬報外国映画ベストテン第8位
ミケランジェロ・アントニオーニ監督
映画表現手法をくつがえした“愛の不毛”
失われた愛の夜は永遠に明けない
アントニオーニ監督が映画表現手法をくつがえした“愛の不毛”
(解説)
「私はもうあなたを愛してなんかいないわ、愛してないと言って」「いや、言うものか」。はたからは幸福そうに見える流行作家夫婦の気持ちは遠くかけ離れている。重病の友人を見舞ったことから夫婦の危機は現実のものになった。上流社会の生活も、白い壁も、冷たい夜の風も、失われた愛をよみがえらせてくれない。アントニオーニ監督の鋭い目は、心と心の間にひそむ空虚をあからさまに見せる。「情事」「太陽はひとりぼっち」とともに革新的な“愛の不毛”作の中核をなす充実した演技陣。
日野康一