三国志演義の第2巻。カバー写真は葛飾北斎画の関羽(ウィーンの美術史美術館蔵Kunsthistorisches Museum Wien)。本書は全120回のうち31-60回を収録。各回(章)には2ページの挿絵がついているが、これは、”四大奇書第一種”19巻に付されている図像から。この挿絵は第1-4巻のすべてに掲載されており、各回の二つの名場面が選ばれているのだが、描かれている人物に特徴がなく、複数の人物が描かれているため、人物の同定は不可能で、解釈不能なものがほとんど。改訂の際には、表紙に掲載された絵などに代表されるように、本文の理解の助けになるか、読者の興味を高めるものに差し替えることを出版社には要望したい。章末には、簡潔な注がついているが、なかでも重宝なのは、以前登場した人物が久々に登場した際に、以前の(第1巻を含む)登場箇所(第何回か)が書かれていること。本書は、登場人物が多いだけに、過去の登場場面が数行の人物などは、この注なくしては、初登場なのか再登場なのか、わからないことが多いと思われる。また、本文中にも、過去の事件に関して、それが過去のどの回に書かれていたかが、示されていることがあり、これも重宝。難を言えば、巻頭に11ページの登場人物紹介があるが、これは五十音順になっておらず、魏、呉、蜀などのグループごとになっており、しかも、その中の配列も五十音になっていないので、人物を探しにくい。また、各人物が、どういった結末を迎えるかが書かれてしまっていることもあるので、物語の興味を削がれる読者もいると思われる。巻末には、本書の出来事が年表にされたものと、第2巻の読みどころとして、本書のあらすじが7ページにわたり書かれているが、あらすじの域をでていない。あらすじは、本編を読めば不要なので、むしろ解説が欲しいところ。本書は、諸葛孔明が登場し、主役が出揃い、以下のように金言も多い。特に、赤壁の戦いの前に、曹操が詠んだ短歌行は、訳者がつけた括弧書きの補足説明が素晴らしく名訳になっている。
劉備:君たちは王者を助ける才能の持ち主なのに、不幸にも私につき従うことになった。私の運命は窮まり、君たちまで、巻き添えにしてしまった。
関羽:”勝敗は兵家の常”、みずから志を失ってはなりません。p35
崔(さい)州平:天に順(したが)う者は逸(やす)らかなるも、天に逆らう者は労(ほね)おる。
劉備:私は漢王朝の末裔であり、傾いた漢王朝を助けねばなりません。どうして天運や天命に委ねることができましょうか。p157
劉備:賢に見(まみ)えんと欲して其の道を以てせざるは、猶お其れ入らんと欲して之が門を閉ざすがごとし(孟子万章下)p158
諸葛亮:文章の一字一句を取り出して穿鑿するのは腐れ儒者であり、国を興し大事を成し遂げることはできません。p286
白眉p462
諸葛亮:此れより天下に知音無しp562
短歌行 曹操 p388
酒に対(むか)いて当(まさ)に歌うべし
人生幾何(ばく)ぞ
譬えば朝露の如し
去る日は苦(はなは)だ多し
憂いは中従(うちよ)り来りて
断絶す可(べ)からず
陌(はく)を超え阡(せん)を度(わた)り
枉(ま)げて用って相い存(と)わば
契闊(けっかつ)して談讌(だんえん)し
心に旧恩を念(おも)う
酒を目の前にして歌おう
人生は短いのだ
たとえば朝露のようなもの
みるみる時は過ぎて行く
(無力なわが身を痛感して)愁いが心の底から湧き起り
断ち切ることができないでいる
(そんな私のことを思って)野越え山越えはるばると
わざわざ訪ねてくれるとは
苦労話に花を咲かせて
古き友情に感謝する(きみのような人に会いたかった)
Kindle 価格: | ¥1,980 (税込) |
獲得ポイント: | 20ポイント (1%) |
を購読しました。 続刊の配信が可能になってから24時間以内に予約注文します。最新刊がリリースされると、予約注文期間中に利用可能な最低価格がデフォルトで設定している支払い方法に請求されます。
「メンバーシップおよび購読」で、支払い方法や端末の更新、続刊のスキップやキャンセルができます。
エラーが発生しました。 エラーのため、お客様の定期購読を処理できませんでした。更新してもう一度やり直してください。

無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
三国志演義 (二) (講談社学術文庫) Kindle版
西暦220年、後漢王朝の崩壊後、群雄割拠の時代の中から魏、蜀、呉の三つ巴の戦いへと発展した。その約1000年後。複数の「三国志」の物語や資料を整理・編纂し、フィクショナルな物語世界を構築してたのが、本書『三国志演義』です。中国文学に精通した訳者が、血沸き肉躍る、波乱万丈の物語を、背景となっている時代や思想にも目配りしたうえで、生き生きとした文体で翻訳した決定版です。(講談社学術文庫)
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2014/10/10
- ファイルサイズ26133 KB
この本はファイルサイズが大きいため、ダウンロードに時間がかかる場合があります。Kindle端末では、この本を3G接続でダウンロードすることができませんので、Wi-Fiネットワークをご利用ください。
まとめ買い
シリーズの詳細を見る-
最初の3冊¥ 5,83059pt (1%)
-
4冊すべて¥ 7,810157pt (2%)
まとめ買い
このシリーズは全4冊です。
-
最初の3冊¥ 5,83059pt (1%)
-
4冊すべて¥ 7,810157pt (2%)
上のボタンを押すと注文が確定し、Kindleストア利用規約に同意したものとみなされます。支払方法及び返品等についてはこちら。
このまとめ買いには3冊が含まれます。
このまとめ買いには1-4冊のうち4冊が含まれます。
エラーが発生しました。
この著者の人気タイトル
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
登録情報
- ASIN : B00PS2FMO4
- 出版社 : 講談社 (2014/10/10)
- 発売日 : 2014/10/10
- 言語 : 日本語
- ファイルサイズ : 26133 KB
- Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) : 有効
- X-Ray : 有効にされていません
- Word Wise : 有効にされていません
- 付箋メモ : Kindle Scribeで
- 本の長さ : 669ページ
- Amazon 売れ筋ランキング: - 267,378位Kindleストア (Kindleストアの売れ筋ランキングを見る)
- - 28,677位日本の小説・文芸
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。

著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう