作品のいたるところにトリュフォー、ゴダールらが影響を受けたお洒落な技巧があり、
ギトリもまた、シルエットなどの撮影効果にヒッチ・コックの影響を受けていたんじゃないか?と、思わせるところもあります。
ギトリの映画は文学とのあいだにあるようで、ナレーションが想像の快楽や感動を与えてくれます。
また、ギトリの声は強い余韻を残す音楽のようであり、ゴダールが影響を受けたその手法は観るものを、聴くものから対話するものへ…と、誘っているかのようでもあります。
シネフィルから映像作家の資質を再評価され続けているサッシャ・ギトリですが、
わたしは残された映画を観る度に、ギトリの声の存在感の強さこそが、影響力の根源ではなかったかなと思うのです。
オススメです。