待望の名著文庫化の下巻がついに登場。
上巻に引き続き、言語過程説を展開する。それは伝統的な国語学や当時のソシュール流の西洋言語学を踏まえたうえで、独自の言語観、言語論を提示したものだった。「詞」と「辞」など独特の用語を用いた彼の理論は、橋本進吉などの主流の国語学とも一線を画したものである。
さすがに現在ではそのままの形では受け入れられない部分もあるが、現在の生成文法や言語類型論、認知言語学や言語哲学にも通じる問題意識や主張が見出され、伝統的な国語学の枠には収まらない、時枝氏の先進性や独自性がうかがわれる。
本巻ではさらには前田英樹氏の詳細な解説がつけられており、理解の助けとなり、これだけでも読む価値がある。
可能であるならば、「続編」の岩波文庫収録も期待したいところである。

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国語学原論 下 (岩波文庫 青 N 110-2) 文庫 – 2007/4/17
時枝 誠記
(著)
- 本の長さ317ページ
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日2007/4/17
- ISBN-104003815025
- ISBN-13978-4003815021
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登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (2007/4/17)
- 発売日 : 2007/4/17
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 317ページ
- ISBN-10 : 4003815025
- ISBN-13 : 978-4003815021
- Amazon 売れ筋ランキング: - 332,967位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2009年3月1日に日本でレビュー済み
下巻では、本著作のハイライトである文法論が収録されている。フレーズとしては結構流通している「入れ子型」としての日本語の構造を、豊富な例を用いて解析していく部分は、一気に読ませる内容で、非常に面白い。印欧語が主語と述語の対立と照応で文を構成していくのに対し、日本語は、詞という成分、客観的事柄を表出する部分を、辞という成分、主観的な心情を陳述する助詞・助動詞、定家以来のテニヲハ研究が主眼とした部分が規定し、確定することで文の意味が明らかになるという筋書きが、著者の整然としていながら情熱的な筆致で語られる。その内容は、日々の言語実践から考えてみれば非常に納得できるし、英語と日本語の文章を比較して読んでみればさらに納得できる。
このような言語の構造は、それを用いる人間の思考の型や行動の型にも大きな影響を与えているのは間違いなく、本書の中では敬語論が文法論の応用編になっている。
読み終えて考えてみると、山本七平の「空気の研究」で書かれている内容の斬新さは本書の議論に裏書きされているのではないか、ということが思いついたし、その他にも、国語学自体の他にも、各分野に渉ってインスピレーションを与えてくれそうな内容のように思える。繰り返して読みたい国語学の書籍だ。
このような言語の構造は、それを用いる人間の思考の型や行動の型にも大きな影響を与えているのは間違いなく、本書の中では敬語論が文法論の応用編になっている。
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