タイトルに違わず、危ない話のオンパレードですね(;^_^A
例えば、結合双生児は一人とカウントするのか、それとも二人なのか(人間なのか腫瘍なのか)、人間と動物の臓器を配合した場合どこからが人間か等、情緒的に受け入れがたい事例が満載で、反発を覚える人も多いでしょう。
一見過激に見えますが、その根底に流れる筆者のメッセージは明らかです。
人間の苦しみを和らげ、人類が繁栄していくのに、大きな可能性を秘めているのがバイオテクノロジーの技術であり、それには先入観や妄信にとらわれてはならない、ということでしょう。
「人類の幸福とわたしたちの住む環境を本気で気遣う」賢明な態度だと、共感を覚えますね。
「あなたのその考えは本当に正しいのですか、実は先入観にとらわれてるだけなのではないですか」と、読者自身が自分で考えて気がつくように、あえて読者を挑発しているように感じました。
その突っ込んだ議論は、頭脳に心地よい(過度の?)負荷がかけられ、とっても歯ごたえ、読みごたえがありですね!
あと一部は挫折しかねないので、二部から読み始めるのも可だと思います。

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人類最後のタブー: バイオテクノロジーが直面する生命倫理とは 単行本 – 2007/3/1
- 本の長さ540ページ
- 言語日本語
- 出版社NHK出版
- 発売日2007/3/1
- ISBN-104140811862
- ISBN-13978-4140811863
商品の説明
抜粋
「さて、どういうご相談でしょう」
女子学生が笑みを消し去って、勇気を振り絞るまでに、しばしの沈黙があっ
た。「わたし、やりたいんです!」だしぬけにこんな言葉が飛び出した。
わたしは首をかしげてみせた。「意味がわからないな。何をやりたいというん
ですか」
「きのうの夜、教授が発表でおっしゃったようなことをやりたいんです」
わたしが呑み込めずにいるのが、学生には意外だったようだ。こちらに身を乗
り出す学生の若々しい顔は、熱意で輝いていた。
「わたしの卵子をチンパンジーの精子と合わせて、受精卵を自分の子宮で育てた
いんです。その観察記を、卒論にまとめようと思います」
胸のつかえがとれたような面持ちで、学生はわたしをひたと見つめ、返事を
待った。生半可な覚悟でないのは明らかだった。
女子学生が笑みを消し去って、勇気を振り絞るまでに、しばしの沈黙があっ
た。「わたし、やりたいんです!」だしぬけにこんな言葉が飛び出した。
わたしは首をかしげてみせた。「意味がわからないな。何をやりたいというん
ですか」
「きのうの夜、教授が発表でおっしゃったようなことをやりたいんです」
わたしが呑み込めずにいるのが、学生には意外だったようだ。こちらに身を乗
り出す学生の若々しい顔は、熱意で輝いていた。
「わたしの卵子をチンパンジーの精子と合わせて、受精卵を自分の子宮で育てた
いんです。その観察記を、卒論にまとめようと思います」
胸のつかえがとれたような面持ちで、学生はわたしをひたと見つめ、返事を
待った。生半可な覚悟でないのは明らかだった。
著者について
Lee M. Silver
遺伝子工学とバイオテクノロジー研究の権威として世界的に知られる分子生物
学者、進化生物学者。
米国プリンストン大学で教授を務めるかたわら、ニューヨーク・タイムズ、ワシ
ントン・ポスト、タイム、ニューズウィークなどのメディアに寄稿する。米国国
立衛生研究所(NIH)から遺伝子研究における優れた業績についてMERIT賞を授与
されている。
クローン技術の人間への応用を論じた前著『複製されるヒト』は米国のみなら
ず、世界各国で議論を巻き起こした。
遺伝子工学とバイオテクノロジー研究の権威として世界的に知られる分子生物
学者、進化生物学者。
米国プリンストン大学で教授を務めるかたわら、ニューヨーク・タイムズ、ワシ
ントン・ポスト、タイム、ニューズウィークなどのメディアに寄稿する。米国国
立衛生研究所(NIH)から遺伝子研究における優れた業績についてMERIT賞を授与
されている。
クローン技術の人間への応用を論じた前著『複製されるヒト』は米国のみなら
ず、世界各国で議論を巻き起こした。
登録情報
- 出版社 : NHK出版 (2007/3/1)
- 発売日 : 2007/3/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 540ページ
- ISBN-10 : 4140811862
- ISBN-13 : 978-4140811863
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,021,669位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 489位遺伝子・分子生物学
- カスタマーレビュー:
著者について
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2010年7月20日に日本でレビュー済み
二年くらい前に初めて読んだときには、あちこちに話が飛ぶし、まとまりが無く読みにくい本だなと放置していたが、久々に読んでみたら意外と楽しめた。本書の内容を大まかにまとめると……
中絶や不妊治療、遺伝子工学、あるいは「心」の科学的な解明のような現代の科学知識や技術は、生命を神聖なもの、神秘的なものと見なす人々から反発を受けやすい。著者自身の経験やアメリカ生命倫理委員会のやりとりなどを元に反対派を分析し、それらの人々の根拠となっているのは宗教であったり、自然な物は良い物だという盲目的な自然賛美だったり、人間中心主義だったり、ガイア思想、ニューエイジ、スピリチュアリズムなどであることを明らかにしてゆく。しかし彼らの反対は漠然とした先入観、感情論に基づいており、論理的には一貫していないことが多く、その矛盾点や論理のほころびを著者は指摘してゆく。
ところで著者は、反対派の動機は主に(隠されてはいるが)キリスト教信仰だと考えているようだ。ところが日本にも神秘主義的な反対派はたくさんいるわけで、原因は宗教ではなく、(本書でもわずかに触れられているが)進化の産物としての感情や道徳観なのではないだろうか。だからこそ通文化的に共有されているのではないだろうか。
本書は構成上あまり見通しが良いとは言えず、生命倫理学を手早く知りたい場合は『動物からの倫理学入門』など別の本を当たった方がよい。アメリカでの議論の情勢を知りたい方にはオススメできる。
中絶や不妊治療、遺伝子工学、あるいは「心」の科学的な解明のような現代の科学知識や技術は、生命を神聖なもの、神秘的なものと見なす人々から反発を受けやすい。著者自身の経験やアメリカ生命倫理委員会のやりとりなどを元に反対派を分析し、それらの人々の根拠となっているのは宗教であったり、自然な物は良い物だという盲目的な自然賛美だったり、人間中心主義だったり、ガイア思想、ニューエイジ、スピリチュアリズムなどであることを明らかにしてゆく。しかし彼らの反対は漠然とした先入観、感情論に基づいており、論理的には一貫していないことが多く、その矛盾点や論理のほころびを著者は指摘してゆく。
ところで著者は、反対派の動機は主に(隠されてはいるが)キリスト教信仰だと考えているようだ。ところが日本にも神秘主義的な反対派はたくさんいるわけで、原因は宗教ではなく、(本書でもわずかに触れられているが)進化の産物としての感情や道徳観なのではないだろうか。だからこそ通文化的に共有されているのではないだろうか。
本書は構成上あまり見通しが良いとは言えず、生命倫理学を手早く知りたい場合は『動物からの倫理学入門』など別の本を当たった方がよい。アメリカでの議論の情勢を知りたい方にはオススメできる。
2007年6月3日に日本でレビュー済み
今日も「大豆(遺伝子組み換えでない)」という表示がされている食品や飲料をスーパーで見かけました。
この(遺伝子組み換えでない)という言葉などから我々一般大衆が受け取る「バイオテクノロジー」の実態について、この本は霊魂、人間、自然、過去から現在・将来などを正面から、またこの分野に詳しくない人々にもわかりやすいよう丁寧に記述しています。
「自分なりの」バイオテクノロジーに対する見解を持ったり、もっとこの分野について勉強してみたいきっかけ与えてくれる良書だと思いました。
この(遺伝子組み換えでない)という言葉などから我々一般大衆が受け取る「バイオテクノロジー」の実態について、この本は霊魂、人間、自然、過去から現在・将来などを正面から、またこの分野に詳しくない人々にもわかりやすいよう丁寧に記述しています。
「自分なりの」バイオテクノロジーに対する見解を持ったり、もっとこの分野について勉強してみたいきっかけ与えてくれる良書だと思いました。