かなり長い時間をかけてじっくりと拝読させていただいた。福沢研究超初心者である当方にとってはレベルが高すぎてついていけない部分も多かったが、懇切丁寧な説明を読み進む内に著者の主張の一部を理解できたと考える。福澤諭吉とヘーゲルという、一見、無関係な存在を、鋭い考察で結びつけていこうとする著者の努力を感じ取ることができたし、実際、その両者には大きな繋がりがあると言える。福澤とヘーゲルでは生きた時代が違うので会ったことは絶対にないし、福澤はヘーゲルの著書を読んだことがない(と著者は断言している)のであるが、その共通性には驚きを隠せない。後半は福澤の女性観(家族観)についての論述であるが、「新女大学」「女大学評論」「修身要領」という福澤晩年の著書を丁寧に解き明かし、福澤の先進的な考え方を余すところなく解明している。日本の近代化、文明化を目指す時、個人レベルからの対等な男女関係が必須であるとの福澤の考え方に心を動かされた。単なる女性解放論者ではなく、文明国日本の樹立のために、今、何を為すべきか、を高い目標に挙げていたことに気付かされた。

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福沢諭吉と多元的「市民社会」論―女性・家族・「人間交際」 単行本 – 2013/8/31
福吉 勝男
(著)
近代日本の形成主体として、福沢諭吉は女性と男性を対等に位置づけていた。“citizen=市民"の訳語を日本で最初に用い、自立した個人から成る市民社会をめざした福沢と、哲学者ヘーゲルの「市民社会」論における共通点を読み解く。
- 本の長さ258ページ
- 言語日本語
- 出版社世界思想社
- 発売日2013/8/31
- ISBN-10479071604X
- ISBN-13978-4790716044
商品の説明
出版社からのコメント
近代日本の形成主体として、福沢諭吉は女性と男性を対等に位置づけていた。“citizen=市民"の訳語を日本で最初に用い、自立した個人から成る市民社会をめざした福沢と、哲学者ヘーゲルの「市民社会」論における共通点を読み解く。
登録情報
- 出版社 : 世界思想社 (2013/8/31)
- 発売日 : 2013/8/31
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 258ページ
- ISBN-10 : 479071604X
- ISBN-13 : 978-4790716044
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,609,573位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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