不評に終わったセカンドアルバムから一転、バンドが飛躍を遂げた1978年の作品。
短いが快調なタイトル曲から初期の代表曲To Be Someoneへの流れで一気に引き込まれる。さらにキンクスの影響が感じられるシニカルな歌詞のMr. Clean、続くキンクスのカヴァーDavid Wattsの単なる本歌取りに終わらない素晴らしい解釈。
そして、余りに美しいアコースティックなEnglish Roseや地下鉄で強盗に襲われる青年の悲劇を描いたDown in the Tube Station at Midnight の二曲にはポール・ウェラーのソングライターとしての著しい成長が感じられる。
全編にわたる演奏の充実、特にブルース・フォクストンの唸りを上げるベースプレイが出色。
当時の彼らがまだ二十代前半だったとは信じ難い成熟と瑞々しい若さがせめぎ合うようなスリルに溢れた傑作だ。