陶淵明の世界

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 陶淵明:山海経を読む


 ・ 山海経其一、序
 ・ 西王母:山海経を読む其二
 ・ 三羽の青鳥:山海経を読む其五
 ・ 太陽の女神羲和:山海経を読む其六
 ・ 陶淵明、不老不死の願望を歌う:山海経を読む其八
 ・ 夸父誕宏の志:山海経を読む其九
 ・ 精衞と刑天:山海経を読む其十
 ・
帝王は用才を愼しむ:山海経を読む其十三



山海経は中国最古の地理書である。地理書といっても、単なる地理を記したものではなく、各地にまつわる神々や妖怪、珍獣の類について、空想力豊かに記している。成立したのは秦から漢にかけての頃と推測されているが、古い部分は周の時代に遡ると思われる。その中には、神話の記述も含まれ、古代の中国を知る上で貴重な文献である。

もともとは、絵と解説の二つの部分からなっていたと思われるが、現在では絵の部分は失われた。しかし、全編にあふれている怪力乱神の類をみれば、そこに付されていた絵も、人の創造力を刺激するようなものであったに違いない。

陶淵明は、この山海経をこよなく愛読していた。おそらく陶淵明の読んだ山海経は絵入りのものであったろう。陶淵明はそれらを読みながら、旧きよき時代を追想し、怪獣、妖怪、超人の話に心をわかせた。そしてそれらの超自然的な能力や技について、深い共感を覚えたことだろう。

陶淵明は、そうした共感や自らが覚えた空想を、山海経の読後感というかたちで、幾編かの詩にした。いずれも、陶淵明が怪力乱神に寄せて吐露した激しい思いが伝わってくるものばかりである。



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