歴史（学）はマルクス以降徒らに社会科学たろうとして、その魅力を失ったのではないかと考えることがある。下部構造やらオーラルヒストリーやら流行りを貶めようという気持ちはさらさらないが、歴史が国家、国民意識を涵養しうるのは、そこには心踊らせるような「英雄」がいて何より魅力的な「物語」があるからではないかと。
そういった疑問をもちながら、本書で歴史（学）の原点たるヘロドトスを参照すると腑に落ちるところが多かった。そういって紡がれた物語の中から、人間性など普遍性のようなものを抽出というよりも、感じ取るというのが歴史との愛すべき付き合い方なのではないか。
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