通読にはかなり骨が折れるが、全3巻読み通すコツは、目次を良く読むこと、上巻の第一章を良く読んでおくこと、二つの中間考察と最終考察を良く読むこと、だと思う。序論、第1中間考察、第2中間考察、最終考察だけでも先に繋げて精読しておけば、本書の60%以上は取れたも同じだ、と私は開き直っている。諸学派の検討は、大問題から枝葉の問題にまで入り込み、煩わしいところもある。
序論は、かなり重要で、近代哲学の総括と著者の立場の明示だ。合理性の概念、合理性論争、など状況サーベイによって、問題提起の妥当性が明らかとなる。本論の枢軸で、発語内行為の概念を軸にコミュニケイション的合理性を展開する。斬新な視座とは思えないが、とても妥当で、本書の立場を無視して今後の哲学も、社会理論もありえないと思う。日常言語学派の理論的検討や序論の諸説の紹介は大変面白いし、ウェーバー、西欧マルクス主義の批判的な検討も、魅力的だ。ヘーゲル的弁証法の志を、言語理論で再武装し、ヘーゲルの包括性を再構築しようとしているようにも思える。でも、「発語内行為」にコア概念を見出し討議の理論を構築、主意主義(意識哲学)を超えでようとする発想は、やはりかなり理念主義的なものは感じる。著者も現実と理想の差は分かっており、本書登場前に用いた「理想的発話状況」なる概念は表には出していないが、結果的には目指すべき尺度にはなっている。昨今、これを見せ掛けだけの合意だ、ここからこぼれる人たちはどうするんだ、という批判が聞かれるが、それよりも、そもそも、他人と討議して相互批判を経て合意に達した結果が、意識哲学を超えているのだろうか、と私は疑問を持つ。そういう行為も意識哲学の領域内の話ではないか、と思うからだ。ミードやデュルケムを導入しても、言語哲学を導入しても、意識哲学を超えることにはならないだろうというのが持論。ヘーゲルの弁証法の真髄は、パラダイムを乗り越えていく運動にあったわけで、理論的には不明点も多いが、志としてはハーバーマスよりダイナミズムを目指している分優れていると思える。マルクーゼやアドルノもその辺りは分かっていて「否定性」を強調したのだと思うが、「否定性」、と話を矮小化したのはまずい方向だった。
プライム無料体験をお試しいただけます
プライム無料体験で、この注文から無料配送特典をご利用いただけます。
非会員 | プライム会員 | |
---|---|---|
通常配送 | ¥410 - ¥450* | 無料 |
お急ぎ便 | ¥510 - ¥550 | |
お届け日時指定便 | ¥510 - ¥650 |
*Amazon.co.jp発送商品の注文額 ¥2,000以上は非会員も無料
無料体験はいつでもキャンセルできます。30日のプライム無料体験をぜひお試しください。
新品:
¥5,280¥5,280 税込
ポイント: 53pt
(1%)
無料お届け日:
3月31日 日曜日
発送元: Amazon.co.jp 販売者: Amazon.co.jp
新品:
¥5,280¥5,280 税込
ポイント: 53pt
(1%)
無料お届け日:
3月31日 日曜日
発送元: Amazon.co.jp
販売者: Amazon.co.jp
中古品: ¥1,257
中古品:
¥1,257

無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
コミュニケイション的行為の理論 上 単行本 – 1985/1/1
{"desktop_buybox_group_1":[{"displayPrice":"¥5,280","priceAmount":5280.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"5,280","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"2dZ9MOjqkEZAXz4fBC%2BlN%2FHt1yrR8gHTntZrErZJOyom0s1CdtOqa8uB2Mv8dXlvtYRsadICIw5sTGshiFftIKecfSC%2FL1HW3vTXxvKaeMJwjqiMfCTitfAJRiwtdpcC","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"NEW","aapiBuyingOptionIndex":0}, {"displayPrice":"¥1,257","priceAmount":1257.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"1,257","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"2dZ9MOjqkEZAXz4fBC%2BlN%2FHt1yrR8gHTJpKrfLh6qqPqq%2Fl8QBDwvji8UOlMySYrQ7%2BnDtqwYIqbh3CxvxMXhGCwpKZgujIT%2BKE%2Bl7lTRsVPmYJS8IvbZ0h6%2B%2F4DzcaBoydNFXjDa3z3nzax2RqeoJk2iovkMpxf6aDFxPe%2BMGKK%2Bjj85cRB4w%3D%3D","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"USED","aapiBuyingOptionIndex":1}]}
購入オプションとあわせ買い
フランクフルト学派の伝統を継承し、現代の思想状況を社会学の手法で分析。「言語論的転回」をとげた代表作。ヨーロッパの合理的思考の行く末を巡り生活世界の問題を論じる。
目次
訳者のまえがき
日本語版への序文
第一部 行為の合理性と社会的合理化
原著者まえがき
第一章 序言「合理性問題へのアプローチ」予備的考察、合理性概念と社会学(図一、二〇)
第一節 「合理性」-一つの暫定的な概念規定
(1)行為と主張の批判可能性
(a)認知的・道具的合理性
(b)コミュニケイション的合理性
(2)批判可能な発言のスペクトル(確定的な言語行為、目的論的行為、規範に規制される行為、自己表示の叙述、評価的発言、自己欺瞞)
(3)付論 議論の理論について(過程、手続き、結果としての議論。内的観点対外的観点。議論の形態対議論の領域。妥当性要求と議論の型)
第二節 神話的世界観と近代的世界観の若干の特色
(1)M・ゴドリエによる神話的世界観の構造
(2)対象領域の分化対世界の分化
(3)P・ウィンチに始まるイギリスの合理性論争、普遍主義的立場をめぐる六つの賛否両論究
(4)世界像の分散化(ピアジェ)、生活世界概念の暫定的導入
第三節 四つの社会学的行為概念における行為の世界関連と合理性の局面
(1)ポパーの三つの世界の理論と行為論的適用(I・C・ジャら-
第一節 西洋合理主義
(1)西洋合理主義の諸現象
(2)合理性の概念
(3)西洋合理主義の普遍主義的内容
第二節 宗教的=形而上学的世界像の呪術からの解放と近代的意識構造の成立
(1)理念と利害
(2)世界像発展の内的要因と外的要因
(3)世界宗教の内容的局面
(4)構造的局面-呪術からの解放と体系的構成-
(5)呪術からの解放と近代的な世界理解
第三節 社会的合理化としての近代化-プロテスタンティズムの倫理の役割
(1)プロテスタント的職業倫理と社会的合理化の自己破壊的範型
(2)「中間考察」の体系的内容
第四節 法の合理化と同時代診断
(1)同時代診断の二つの契機-意味喪失と自由喪失-
(2)法の二義的合理化
(a)道徳的=実践的合理性の具体化としての法
(b)組織構成手段としての法
目次
訳者のまえがき
日本語版への序文
第一部 行為の合理性と社会的合理化
原著者まえがき
第一章 序言「合理性問題へのアプローチ」予備的考察、合理性概念と社会学(図一、二〇)
第一節 「合理性」-一つの暫定的な概念規定
(1)行為と主張の批判可能性
(a)認知的・道具的合理性
(b)コミュニケイション的合理性
(2)批判可能な発言のスペクトル(確定的な言語行為、目的論的行為、規範に規制される行為、自己表示の叙述、評価的発言、自己欺瞞)
(3)付論 議論の理論について(過程、手続き、結果としての議論。内的観点対外的観点。議論の形態対議論の領域。妥当性要求と議論の型)
第二節 神話的世界観と近代的世界観の若干の特色
(1)M・ゴドリエによる神話的世界観の構造
(2)対象領域の分化対世界の分化
(3)P・ウィンチに始まるイギリスの合理性論争、普遍主義的立場をめぐる六つの賛否両論究
(4)世界像の分散化(ピアジェ)、生活世界概念の暫定的導入
第三節 四つの社会学的行為概念における行為の世界関連と合理性の局面
(1)ポパーの三つの世界の理論と行為論的適用(I・C・ジャら-
第一節 西洋合理主義
(1)西洋合理主義の諸現象
(2)合理性の概念
(3)西洋合理主義の普遍主義的内容
第二節 宗教的=形而上学的世界像の呪術からの解放と近代的意識構造の成立
(1)理念と利害
(2)世界像発展の内的要因と外的要因
(3)世界宗教の内容的局面
(4)構造的局面-呪術からの解放と体系的構成-
(5)呪術からの解放と近代的な世界理解
第三節 社会的合理化としての近代化-プロテスタンティズムの倫理の役割
(1)プロテスタント的職業倫理と社会的合理化の自己破壊的範型
(2)「中間考察」の体系的内容
第四節 法の合理化と同時代診断
(1)同時代診断の二つの契機-意味喪失と自由喪失-
(2)法の二義的合理化
(a)道徳的=実践的合理性の具体化としての法
(b)組織構成手段としての法
- ISBN-104624010752
- ISBN-13978-4624010751
- 出版社未来社
- 発売日1985/1/1
- 言語日本語
- 本の長さ371ページ
よく一緒に購入されている商品

対象商品: コミュニケイション的行為の理論 上
¥5,280¥5,280
最短で3月31日 日曜日のお届け予定です
残り4点(入荷予定あり)
¥5,280¥5,280
最短で3月31日 日曜日のお届け予定です
残り1点(入荷予定あり)
¥5,280¥5,280
最短で3月31日 日曜日のお届け予定です
残り2点(入荷予定あり)
総額:
当社の価格を見るには、これら商品をカートに追加してください。
ポイントの合計:
pt
もう一度お試しください
追加されました
一緒に購入する商品を選択してください。
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
登録情報
- 出版社 : 未来社 (1985/1/1)
- 発売日 : 1985/1/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 371ページ
- ISBN-10 : 4624010752
- ISBN-13 : 978-4624010751
- Amazon 売れ筋ランキング: - 89,046位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 10,730位ビジネス・経済 (本)
- カスタマーレビュー:
カスタマーレビュー
星5つ中4.5つ
5つのうち4.5つ
5グローバルレーティング
評価はどのように計算されますか?
全体的な星の評価と星ごとの割合の内訳を計算するために、単純な平均は使用されません。その代わり、レビューの日時がどれだけ新しいかや、レビューアーがAmazonで商品を購入したかどうかなどが考慮されます。また、レビューを分析して信頼性が検証されます。
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2018年10月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
フランクフルト学派、ドイツ後期の哲学の体現者、いまやってる社会学のテキストではよく出ます。マックスウェーバーなどと並べてひっかける問題などあります。これだけ言及される方で存命なのは氏ぐらいではないかと。様々な哲学論を総合して描いており、勉強になります。マルクーゼ先生の哲学がよく言及されており、昔理性と革命という本を読んだのを思い出し、繋がるなと、また参考のためにマルクーゼ先生の新たな哲学本を注文しました。自分の読み方はざっくりなので、研究とかする人ならキーワード抜き出したりして整理すれば理解深まるだろうな、と、自分の場合はよく分からないとこは社会学のtacの参考書を参考にしたりします。他の哲学者の関連する論考とか分かって良いです。ハーバーマス先生も、一人では成立しない、そうした哲学者の数珠つなぎがとても興味深いです。