ゴルフ会員権、株高でも安く 団塊「卒業」で売却
ゴルフ会員権の取引価格が低迷している。関東圏の平均価格は年初比で3%下落した。団塊の世代の高齢化に伴いゴルフをやめる人の売却希望が増えている。日経平均株価の上昇局面ではゴルフ会員権相場も上がってきたが、ゴルフ市場の構造変化で相関性が薄れているようだ。
関東ゴルフ会員権取引業協同組合(東京・千代田)がまとめた関東圏の平均価格(指定150コース)は206万5千円で、年初比6万6千円下落した。ピークだった2013年5月に比べると27%(76万4千円)下がった。仲介大手の住地ゴルフ(東京・中央)が算出している全国平均価格も121万円となり、13年5月比で11%下落した。日経平均株価が5割上昇したのと対照的だ。
ゴルフ会員権相場は、日経平均株価が上昇局面に入った12年12月から一時的に上がったものの、13年5月をピークに下落傾向が続く。業績が上向いた企業が含み損を抱えた会員権の売却に動いたことや、優遇税制の廃止をにらんだ個人の売りが重なった。
ゴルフ人口が多かった団塊の世代が70歳近くになり、ゴルフ会員権を売却処分する動きが出ている。日本生産性本部の「レジャー白書」によると、92年に1480万人だったコース参加人口は、13年は860万人となり4割減少した。
会員権が「投資ではなく実需で動く商品になった」(仲介大手の桜ゴルフ)ことで、ゴルファーの高齢化と競技人口の減少の影響を直接受けるようになった。経費削減で法人も新規購入を控えている。
都心から遠く、集客に悩む郊外型のゴルフ場を中心に、ビジター料金が相次いで値下げされていることも響いている。「(会員権購入後の手続きにかかる)名義書き換えの料金や年会費は依然として高い。会員権は1万円でも売れないケースが出ている」(ゴルフホットラインの南場賢代表取締役)という。
個別にみると年初に比べ値上がりしたコースもある。桜ゴルフによると、長竹カントリークラブ(神奈川県)は60万円で7割高、多摩カントリークラブ(東京都)は360万円で16%高。関西でも西宮カントリー倶楽部(兵庫県)は450万円で2%高となっている。共通するのはアクセスの良さや、コースの質が高いとされることだ。